2017.01.18

大動脈弁再建(形成)術に使用するサイザーセットの新製品(シングルユース製品)を米国にて販売開始致しました

 この度、弊社が事業化を行っている医療機器「自己心膜等による大動脈弁再建(形成)術*1に使用するサイザーセット」の新製品として、シングルユース・サイザーセット(The OZAKI AVNeo™ Sizer System*2)を米国にて販売することとなりました。サイザーセットは米国ではこれまで、リユーサブルタイプを2014年5月より販売して参りましたが、再滅菌の手間がかかること、医療機関で実施される通常の滅菌法(オートクレーブ)では狂牛病などの感染症が防げない等の医療上の問題もあったため、新たにシングルユース製品として弊社が独自に開発し、この程、米国食品医薬局(FDA)における薬事手続きを完了致しました。この新製品はデザインも一新し、高い利便性と安全性を兼ね備えた製品となっております。

◆The OZAKI AVNeo Sizer System 3つの特徴
1. サイザーのデザインを一新
全く新しいデザインのサイザーは、従来品(The OZAKI VRec Sizer™ System)と比較して測定に用いる交連部側の対側部分を大幅に小さくすることにより計測中に弁輪に傷がつきにくいようデザイン致しました。またハンドル部分をなくすことにより更に小さくなったことで、術者の近くに容易に置けるようにもなりました。
サイザーセットはこれまで、小児用のみ別売りとなっていましたが、利便性を考え、小児用、標準用、大型用の3種類のセットを用意致しました。(13/15/19が小児用サイズ。21/23/25/27/29が標準サイズ。31/33/35が大型サイズ)

2. 高い再現性をもたらすテンプレートデザイン
12種類のサイザーに対応したテンプレートは、弁輪を正確に作成しトリミングするためだけでなく、弁輪に縫い付けるための目安となるドット、および交連部の補強に用いるウイングを容易にトリミングするためのドットを容易につけることが可能となります。

3. 手術現場における使いやすさを追及
心膜処理のためのトレイとプレート、テンプレートでトリミングした弁尖を管理する3分割シャーレなど、一連の手技に必要なツールをコンパクトにかつオールインワンで提供します。ガンマ線による滅菌済みで、医療スタッフの業務負荷軽減や医療安全の向上につながります。

 本製品は2017年1月より米国市場にて販売を開始致しました。製造販売は弊社が行います。各医療機関への販売は米国現地の代理店が販売致します。詳細については直接弊社にお問い合わせ下さい。また、掲載内容は、発表日の情報であり、ご覧になっている時点で、予告なく情報が変更されている場合があります。掲載されている社名、製品名、技術名は弊社の商標または登録商標です

 弊社では、これまでの経験とスキルに加え、当該事業を実施することで培った新たなノウハウをもとに、さまざまな日本発医療イノベーションの事業化を実施して参ります。そして、弊社のビジョンである「日本発の医療イノベーションを世界に」の実現を目指すと共に、医療の質の向上・医療産業界の活性化への貢献を目指してさらに努力して参りたいと思います。

*1 :  大動脈弁再建(弁形成)術
 当該医療機器が用いられる大動脈弁再建(弁形成)術は東邦大学医療センター大橋病院心臓血管外科 尾﨑重之教授が考案された比較的新しい手術法です。この手術は従来の人工弁を植え込む弁置換術とは異なり、主に自分の心膜を用います。尾﨑先生によれば「機械弁置換術後のように抗凝固療法(ワーファリンなど)を必要とせず、また、生体弁と比較しても、弁の付け根(弁輪部)が生理的な動きをすることで、弁に負荷がかからず、長期成績に優れている可能性があります。」とされています。尚、当該サイザーセットはこの新しい手術に際し、新たに再建する弁の大きさと形を決めるという重要な役割を持ちます。この医療機器により手術をスムーズに行うことができます。
 手術方法の詳しい内容についてはこちらを御覧下さい。(実際の手術時の動画や画像が含まれていますのでご注意ください)

*2:  Aortic Valve Neo-cuspidizationの略