2018.10.30

政府予算 平成31年度概算要求における医療機器関連予算について

みなさま、こんにちは、JOMDD 事業開発担当の野口です。

「あ~、こんな補助金が出てたんだ。知らなかった。」「申請したいけど、どう考えても助成金の申請期限までに間に合わない・・・」という経験はありませんか?特に大型の補助金に限って。。。スタートアップでも、大企業でも、新しいチャレンジを進めるうえで、国や地方自治体から毎年出される助成金や補助金は、とても重要な資金源の一つかと思います。しかしながら、補助金の掲示があってから申請書を出すまでの時間は意外と短く、協力者を探しながら申請書を書いてくことは非常に大変です。ではもし、申請に関する情報の概要が半年くらい前に事前にわかっていたらどうでしょうか? 公的資金の大枠をあらかじめ知ることができれば、事前に準備し、身構えることができます。

今回は、政府予算の流れと、平成31年度に予定されている医療機器関連の予算について、ご紹介します。実は各省庁の予算概算要求を読むことで半年後の政府予算の大枠を知ることができるのです。これでぜひ、平成31年度(2019年)の大型資金獲得に向けた準備を進め、補助金・助成金を獲得していただければと思います。

 

■政府予算の流れについて
<ポイント>
・概算要求は、毎年8月
・12月の閣議決定、次年度の国会審議を経て、予算が成立する

政府予算の流れはご存じの方も多いと思いますが、簡単に流れを見てみます。
政府の予算編成の流れは、図1のようになります。毎年8月ごろに各省が来年度予算を作成し、「概算要求」として提出します。その際は、各省庁は削られることを覚悟しており、大きめに予算要求をしてきますし、優先順位も決めています。そのうえで、財務省と各省庁でヒアリング、交渉が開始します。財務省は、各省庁の要求をまとめ、全体の予算額を見た上で、各省庁に対して個別案件の必要性や予算額について交渉します。そして、12月下旬ごろに財務省原案、さらに、首相や大臣らの政府要望を踏まえた政府案が12月下旬に作成、決定されます。最後に、新年度1~3月に国会審議を経て、予算成立です。ちなみに、この最後の過程がよくテレビで見られる与野党が対立する予算審議です。
これら半年の過程を経て予算が成立し、4月以降、成立した助成金・補助金が随時公表されていくことになります。

図1:予算編成のプロセス

図1:予算編成のプロセス
(中小企業庁 ミラサポHP 来年度予算・概算要求より¹ )

 

■医療機器関連で見た「平成31年度概算要求」について
<ポイント>
・医療機器関連の概算要求額では大きな変化なし
・経産省予算「未来医療」が終了し、「先進的医療機器・システム等技術開発事業」が開始

平成31年度における医療分野全体の研究関連予算の概算要求は、AMED対象経費 1,515億円、インハウス研究機関経費 826億円で、前年度とほぼ変わりません。医療機器開発予算は、「オールジャパンでの医療機器プロジェクト」として、平成31年度145億円(平成30年度148億円)となります。
平成30年度と平成31年度とでの大きな違いは、平成26~30年度まで続いていた経済産業省の「未来医療を実現する医療機器・システム研究開発事業」が終了し、新たに「先進的医療機器・システム等技術開発事業」が応用研究から臨床研究・治験までの支援策として提示されています。

図2:医療機器関連の平成31年度概算要求額(日本医療研究開発機構対象経費)

図2:医療機器関連の平成31年度概算要求額(日本医療研究開発機構対象経費)
※文部科学省(緑色)、経済産業省(水色)、厚生労働省(赤色)の予算
(内閣官房 健康・医療戦略室「平成31年度 医療分野の研究開発関連予算の概算要求のポイント」より² )

 

■注目すべき2つの大型予算
<ポイント>
・「先進的医療機器・システム等技術開発事業」が新たに設置
・産業革新機構は新たに1,600億円の資金を得て、2034年まで設置延長へ

①新事業「先進的医療機器・システム等技術開発事業」
経済産業省より新規に34.8億円の概算要求が出されている「先進的医療機器・システム等技術開発事業」は、事業内容として大きく2つ、「先進的な医療機器・システム及び基盤技術の開発」と「薬機法における承認審査の迅速化のための 開発ガイドラインの策定」が盛り込まれています。平成30年度まで続いた「未来医療を実現する医療機器・システム研究開発事業」と同様に、医療機器・システム等の開発、国内外への展開・普及を目指し、大学・民間企業等によるコンソーシアムに対して支援するというものです。

一方で、「先進的医療機器・システム等技術開発事業」の特徴としては、日経バイオテクの記事³  によると、従来「広く浅く」の支援だったものを、1つのプロジェクトを10億円程度へと大型し、平成39年度までに4件の実用化を目指し、集中支援していくというものになりそうです。注目分野が設定されており、この注目分野関連での医療機器開発をされている企業にとっては注目すべき予算となります。

図3:先進的医療機器・システム等技術開発事業

図3:先進的医療機器・システム等技術開発事業
(経済産業省「平成31年度経済産業省概算要求のPR資料一覧:一般会計」より⁴ )

 

②産業革新機構への1,600億円の追加出資

平成31年度の経済産業省概算要求の中で、「産業革新投資機構」への産業投資として、新たに1,600億円が盛り込まれています。
今年2月に、官民ファンド「産業革新機構」の設置期限を2024年度から9年間延長することを盛り込んだ産業競争力強化法の改正案が閣議決定されました。経済産業省では、有識者会議を設置し、人工知能(AI)やバイオ、創薬などの長期投資が必要な分野へのリスクマネーの供給としての官民ファンドの意義や、現在10以上ある官民ファンドについて、統合再編によって効率化について議論されています。健康・医療分野においても、「健康・医療戦略ファンドタスクフォース」を設置し、総額約1,000億円にのぼる官民ファンドについて今後の運営方針を検討しています。

図4:健康・医療分野における官民ファンド等のイメージ

図4:健康・医療分野における官民ファンド等のイメージ
(内閣官房 健康・医療戦略室「健康・医療戦略ファンドタスクフォース の今後の取組方針について」より⁵ )

 

■終わりに
<ポイント>
・概算要求で、政府の来年度の研究支援策の大枠を早く知ることができます
・医療機器関連では、「先進的医療機器・システム等技術開発事業」と産業革新機構の動向に注目

今回、来年度の補助金獲得に備えるために概算要求を見てみましたが、参考になりましたでしょうか。概算要求はあくまで各省の要求で、今後の審議を経て、時には消失や内容変更がされますが、これを把握しておくことで、ある程度の事前準備が可能となるかと思います。
JOMDDは、「日本発の医療イノベーションを世界に」という想いで2012年に設立された会社です。日本政府も、健康・医療分野に官民ファンドとして1,000億円規模のリスクマネーを用意し、様々な支援策を出してきてくれています。ぜひ皆様と共に、政府の大型予算を活用しながら、医療イノベーションを加速しており、日本発のイノベーションを世界に届けていきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 

¹ 中小企業庁ミラサポHP「来年度予算・概算要求」
https://www.mirasapo.jp/budget/guide/about.html (最終アクセス2018年10月23日)
² 内閣官房 健康・医療戦略室「平成31年度 医療分野の研究開発関連予算の概算要求のポイント」(2018年8月31日)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/suisin/pdf/h31_yosan.pdf (最終アクセス2018年10月23日)
³ 日経バイオテク「経産省、医療機器の大型開発補助事業を開始、「広く浅く」を脱却」(2018年9月6日) https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/18/09/05/04679/ (最終アクセス2018年10月23日)
⁴ 経済産業省「平成31年度経済産業省概算要求のPR資料一覧:一般会計」(2018年8月31日)http://www.meti.go.jp/main/yosangaisan/fy2019/pr/ip/sangi_20.pdf (最終アクセス2018年10月23日)
⁵ 内閣官房 健康・医療戦略室「健康・医療戦略ファンドタスクフォース の今後の取組方針について」(2018年8月10日)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/fundtask/dai2/siryou3.pdf (最終アクセス2018年10月23日)