2022.01.04

年頭のご挨拶

 皆様、新年明けましておめでとうございます。JOMDD代表の内田です。
 昨年のお正月は、コロナ禍でひっそりとしたお正月になりますね。というお話をいたしました。その後もCOVID-19の影響は続いており、二年連続で控えめなお正月にならざるを得ない状況かと思います。未曾有のことですが、皆様におかれましては昨年一年間はどのような一年だったでしょうか。
 JOMDDのインキュベーション事業は本格的な開始が2013年初夏でしたが、創業自体は2012年9月なので、この秋で創業10年を迎えます。スタートアップで10年続く企業はあまり多くないという言葉も耳にする中で10年という節目を迎えられそうなことは、とても幸いであり、これまでご支援いただいている皆様のお陰と、感謝しかありません。我々のような医療機器のインキュベーション事業自体、国内にはほぼ先例がなく、認知度も低く、協業先の皆様とどのようにお付き合いをするのかも含めて、模索しながらやってきました。卵が先か鶏が先かという話しがありますが、我々の事業も、お相手からするとインキュベーションといっても一体何をやってくれるのか、どこまで任せていいのかといった観点で、役割分担を決めるのが、他にベンチマークもないので、とても難しいのです。明確な先行事例や成功例があればわかりやすいのだと思いますが、医療機器事業はそもそも時間がかかるので、JOMDDがすぐにそれをお示しすることもできず、結局、こちらが是非ご一緒したいと考える案件でも協業の条件が折り合わずそれが叶わないこともしばしば経験してきました。
 どのように協業できるかという観点も踏まえて、JOMDDの目利き自体も、創業当初の視点からは少しずつですが変わってきています。当初はポートフォリオを早急に広げたいという意図もあり、比較的ストライクゾーンを広く構えていました。しかし、結局無理して難しい球に手を出すとヒットは出にくいということも経験し、最近は好球必打を心がけています。JOMDDの特別顧問を務めていただいたジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人会長やカルビー会長を歴任された松本晃さんがよく仰っていました。「医療機器開発はかけ算だ。いい医療機器であるのは当たり前、薬事、治験、販売、品質保証どれか一つでもゼロがあったら、掛けたらゼロだから何にもならない」と。この言葉は、経験を積めば積むほどよく理解ができるようになりました。JOMDD自身が医療機器開発全てのフェーズを隙間無く網羅し、ワンストップで新規医療機器事業の支援ができることを訴求している以上、自分たちもゼロを作らないように日々尽力しています。強みをさらに伸すことはもとより、弱みは何か、どうすればそれを克服できるか。弱みの克服のために社内に新しい部署を設置したり、人の手当をしたり、常に進化を続けています。元々薬事や海外展開に強みがありましたが、最近はきちんと売れるものを作る商品企画の部門、品質保証部門や、研究開発部門の強化にも力を入れています。さらに、医療機器だけでなくデジタルヘルス、その他の医療系サービスや、再生医療にも積極的に関与し、知見を積み重ねています。協業先の皆様にも「ゼロを作らない」というコンセプトにご理解いただきたいと考えています。どんなに優れたシーズでも事業化までにゼロが一つでもあったらゼロだということが共有できれば、失敗はとても少なくなります。
 JOMDDでは年間400~500件の新しい案件を目利きしていますが、松本会長からは判断を効率よくしないとそこで疲弊してしまうとも教わりました。このため、目利きについてもより短時間でより精度を上げるようなプロセスを適宜導入しています。案件数が多いことから、折角ご相談頂いた新規案件に対しても、協業に至らない理由について十分にご説明できていないケースもあろうかと思いますが、皆様にどうかご理解いただきたく存じます。
 昨年の念頭のご挨拶ではgoing concernのお話をいたしました。今秋創業10年を迎えるJOMDDの更なる進化を是ご期待いただきたく、また、引き続き皆様の暖かいご支援を何卒よろしくお願いいたします。
 末筆ながら、皆様におかれましても、令和4年(2022年)が素晴らしい一年となりますことを心よりご祈念いたします。

2022年お正月
JOMDD代表取締役 内田 毅彦 拝